【新刊】『調査する人生』岸政彦
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四六判・ソフトカバー /308ページ
長い年月をかけて対象となる社会に深く入り込み、そこで暮らす人びとの人生や生活を描くフィールドワーカーたちは、自分たちの人生もまた調査に費やしている。生活史調査で知られる著者が、打越正行、齋藤直子、丸山里美、石岡丈昇、上間陽子、朴沙羅の卓越した6人のフィールドワーカーたちと「調査する人生」を語り合う。
目次
序
第1回 打越正行×岸 政彦
相手の一〇年を聞くために、自分の一〇年を投じる
暴走族の中でパシリをはじめる
「大学生のくせによく頑張ってるじゃないか」
「地元」はどうやら優しい共同体ではない
ネットワーク全体の中に埋め込まれて関係性や作業が進んでいく
地元の実践感覚を数年かけて身に付けていく
パシリを引き継ぐ後輩が入ってこない
製造業は「書かれた言語」、建設業は「話し言葉」のコミュニケーションが中心
リスクを最小限にしてうまく生き残り続ける能力
暴走族が一〇年間で激減
ストレートな地元愛を聞くことはほとんどない
敬意を持つ相手は、妻や彼女を殴る男でもある
調査の初日にパクられる
いつまでたっても自分はよそもの
関わり続けたら完全に中立的ではいられない
本は燃えてもフィールドノートは燃えなかった
沈黙に耐えきれずカラオケで曲を入れてしまう
「別世界のビックリ話」で終わらせないためにどう書くか
暴力の問題を自分の問題として書く
調査対象でもフィールドワークでもなく、人生である
第2回 齋藤直子×岸 政彦
生活そのものを聞き取り続けて見えてくること
社会学との出会い
複数の「しんどさ」がつながったとき
生活史の第一人者たちから学ぶ
部落問題の調査でなにを聞くのか
生い立ちを肯定するための「自分史」運動
テーマだけを聞くのはもったいない
「何をされたか?」ではなく「どう思ったか?」 からの広がり
質的調査も量が大事
詳しくなるのはストーリーやインタビューの技術ではない
当事者と当事者でないところの接点
「社会問題が実在する」とは
差別する側のパターン化
部落問題と結婚・家制度
「結婚には反対だが差別ではない」の疑わしさ
差別する側の非合理的で過剰な拒否感
やればやるほど離れられなくなる
第3回 丸山里美×岸 政彦
簡単に理解できない、矛盾した語りを掘り下げたい
ホームレス研究から排除された女性
調査をお願いする勇気
畳の上で寝ることよりも大事なこと
「改善」より先に「理解」したい
人は矛盾を抱えて生きている
これまでの研究は「男性ホームレス研究」だった
問いの前の問い
社会学者が「責任解除」をすること
語りを理由に還元しない
語りの矛盾や飛躍こそもう一度聞く
理論がないと何十人聞いてもわからない
一つの行為に一つの理由、ではない
第4回 石岡丈昇×岸 政彦
生きていくことを正面に据えると、なかなか威勢よく言えない
「咬ませ犬」ボクサーに話を聞く
フィリピン、マニラのボクシングジムへ
なぜボクサーになるのか?
泣き真似、豪雨、ヘビ
立ち退きは「宿命」か
威勢よく言えることを可能にする条件
まだまだわかる部分があるはず
第5回 上間陽子×岸 政彦
調査する人生と支援する人生
沖縄の女性たちの調査をはじめる
インタビューって面白いな、と思った
「沖縄は絶対にやらない」と決心した院生時代
「強いコギャル」の話を書きたかったはずなのに
「話がまとまるまでいなきゃ」って思う
支援に振り切りシェルター開設
私がやっているのは、それぞれを特別扱いすること
加害者の語りをどう書けるのか
調査相手との距離・関わり方
しつこさが大事
第6回 朴 沙羅×岸 政彦
人生を書くことはできるのか
親族の生活史を聞く
テーマや問いを設定して……あれ、設定できなくない?
インタビューはコントロールできない
その場で言語化された言葉の解釈
一時間、二時間の人生、九〇年の人生
「酒がうまい」論文
「わかる」ことと「共感する」こと
「中の人」の体験の面白さ
歴史的事実と個人の語り
「歴史的な出来事」の拡張
ジャーナリズム、カウンセリング、社会学
相手が泣いてしまう経験
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