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【新刊】『哲学者カフカ入門講義』仲正昌樹
¥2,200
四六上製/270ページ 没後100年。 ドゥルーズ+ガタリ、ベンヤミン、アドルノなど、哲学/現代思想の諸理論の視座から、カフカの主要作品を精読し、解釈を加えることを通して、世界を見る時の「自分」の視線の動きを変調させるやり方を学ぶ。 今までなかった哲学の視点からスリリングにその奇怪な小説の世界を読解する。 漫才でありそうな、ちょっとしたボケの効果が――読者がこの程度のことはそれほど珍しくもないなと思っているうちに――徐々に大きくなっていき、いつの間にかとんでもない不条理に発展していることに、しばらくしてから気付く。そういう、気付かないうちに読者の時間感覚、秩序感覚を狂わせてしまうような文体にこそカフカの魅力があると思う。(本文より)
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【新刊】『私の猫』十文字青
¥2,420
四六上製/192ページ 表題作を含む四篇を収録。 「書肆imasu」レーベル第一弾。 収録作品: 父と猫 19981999 愛はたまらなく恋しい 私の猫 装画・タダジュン 装幀・名久井直子 目次 父と猫 19981999 愛はたまらなく恋しい 私の猫 著者プロフィール 十文字青 (ジュウモンジアオ) (著/文) 作家。北海道生まれ。 北海道大学文学部卒。 北海道在住。
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【新刊】『ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える』ダニエル・ドレズナー、谷口功一 (翻訳)、 山田高敬 (翻訳)
¥2,200
四六判/240ページ 十五年前、色々な州をまわるドライブの途中で、私はグレイスランド〔エルヴィス・プレスリーの旧居〕に立ち寄った。私が参加したツアーがジャングル・ルーム〔レコーディング・スタジオとして使われた部屋〕に着くまでの間に、エルヴィス・プレスリーの邸宅を歩き回る三十数人の人びとは、二つのグループに分類された。第一のグループは、まったくもって完全にエルヴィスに身も心も捧げた真剣な人びとだった。彼らはハードコアなファンであり、グレイスランドは、彼らにとってのメッカであり、エルサレムであり、そしてローマであったのだ。その多くは、彼らのキングが今でもこの地上を歩き回っているのだと確信しているようだった。彼らはジャンプスーツのコレクションを目にすると、その壮麗さに目眩をおぼえながら、息を呑んだ。 第二のグループは、グレイスランドにいることを等しく喜んではいたが、それは第一のグループとは別の理由によってだった。この人たちは、エルヴィスにまつわる諸々のキッチュさを楽しんでいたのだ。彼らにとって、緑色のモジャモジャのカーペットや鏡張りの壁などの美学を保存した邸宅は、変チクリンで野暮ったいものだった。同じくジャンプスーツのコレクションを目にした時、彼らはあまりの馬鹿馬鹿しさに目眩をおぼえて、息を呑んだのだった。 歩き回っているうちに、われらがツアー・ガイドの、真のプロフェッショナル精神が私の心を打った。その職務は容易なものではなかった。彼女は、熱烈な信者たちの全員に対してエルヴィスに関する正確な知識を提供しなければならない。それと同時に、彼女は、残りの人びとに対しては、このツアーの滑稽さを認めなければならなかったのだ。 表情の微妙な変化と声のトーンのわずかな調節によって、われらがガイドは、彼女の職務を見事に遂行した。いかなる点でも、彼女は信者たちの目にエルヴィスを蔑ろにするようには映らなかった。私は、今日、グレイスランドから帰った人は皆、この訪問に完全に満足していただろうと確信している。 本書は、このグレイスランド・ツアーの一種だと思って欲しい。ほんのちょっとの脚注と、それから、ゾンビが、くっついて来ますけど。(本書「まえがき」より)
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【新刊】『平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版』宮崎智之
¥968
文庫並製/272ページ/サイン本 注目の文芸評論家、エッセイストによる等身大の言葉で日常を鮮やかに描いた文章集。増補を加えて待望の文庫化。解説 山本貴光・吉川浩満。 【宮崎智之さんからメッセージいただきました!】 ちくま文庫版には、三篇からなる新章を加えました。「寂しさ論」を軸に、『平熱のまま、この世界に熱狂したい』の視点や考え方を深化させています。僕の「初期代表作」とも呼べる大切な一冊になりました。ぜひ、お手に取って、いっときの凪のなかに身を置いていただき、「この世界も、あながち悪いものではない」と一緒に笑い合えたなら幸いです。
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【新刊】『パンクの系譜学』川上幸之介
¥2,860
四六判・上製/384ページ パンクとは常に問い、それについて行動を起こすことだ━━。音楽だけでなく、アート、思想、運動の側面からも「パンク」の根源に迫る画期的著作。 労働者階級の若者による現状への怒りからイギリスで生まれたとされるパンク。その叫びのルーツには、アナキズムやコミュニズムといった思想、そしてダダから脈打つ前衛芸術史も刻まれていた。 奴隷制からポピュラー音楽の誕生、その後のフォーク、スキッフル、ガレージ、パンクへの道のりに、シチュアシオニト・インターナショナル、キング・モブといった運動が交差し、セックス・ピストルズ以降に現れたOi!、クラス、ポジティブ・フォース、ライオット・ガール、クィアコア、アフロパンク、アジアのパンクシーン、そして橋の下世界音楽祭へとつながっていく。 パンクの抵抗の系譜を辿りつつ、正史の陰に隠れた歴史に光をあてる画期的著作。Punk!展、ゲリラ・ガールズ展ほか、話題の展示のキュレーションを行う研究者による初単著。松村圭一郎さん、毛利嘉孝さん推薦!
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【新刊】『絵画の力学』沢山遼
¥2,970
A5判・上製/408ページ 芸術を経験することとは、振動する差異と諸力のただなかに巻き込まれることだ。芸術の思考=批評はそこから開始される。 アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、カール・アンドレ、ロバート・モリス、香月泰男、福沢一郎、辰野登恵子、高松次郎、ゴードン・マッタ゠クラーク、ロザリンド・クラウス、クレメント・グリーンバーグ、イサム・ノグチ──。 「美術手帖」芸術評論募集第一席を受賞した著者による堂々たる初の単著。単行本書き下ろしとして、イサム・ノグチ論「火星から見られる彫刻」を収録する。美術批評の新たな達成。 【序より】 芸術を経験することとは、振動する差異と諸力のただなかに巻き込まれることだ。芸術の思考=批評はそこから開始される。本書は、そのような、絡み合いせめぎ合う諸力の束としての芸術作品の分析を試みる。俎上に載せられるのは、絵画、彫刻、批評など、いずれも、近現代の芸術動向と深く関わる対象群だ。(……) 「一」であると同時に「多」であるところの芸術、意志と方向をもつ芸術、客体化された一個の思考・思想としての芸術。作品を知覚すること、批評することの出発点に、こうした芸術の力学を置くことから、本書は始められる。
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【新刊】『二人のデカメロン』青木真兵、柿内正午
¥1,000
B6判並製/80ページ 山村とシティーそれぞれ暮らすおしゃべり二人による雑談エッセイ。まるで違うことを考えているようで、なぜか妙に噛み合ってもいる。ごきげんな一冊。(版元サイトより)
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【新刊】『センス・オブ・ワンダー』著)レイチェル・カーソン、訳)森田真生
¥1,540
四六判並製/184ページ 世界的ベストセラー『センス・オブ・ワンダー』待望の新訳 さらにその未完の作品を今京都から書き継ぐ 先駆的に化学物質による環境汚染を訴え、今に続く環境学の嚆矢ともなった『沈黙の春』の著者であり科学者であるレイチェル・カーソン。そのカーソンの最後に遺した未完の作品が『センス・オブ・ワンダー』だ。 本書は独立研究者・森田真生による新訳と、「その続き」として森田が描く「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」で構成する。カーソンが残した問いかけに応答しつつ、70年後の今を生きる森田の問題意識に基づいた、新しい読み解き、新しい人間像の模索を行う。
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【新刊】『橋本治「再読」ノート』仲俣暁生
¥1,540
B6判並製/80ページ/サイン本 2019年に惜しくも世を去った小説家、橋本治の中期から後期の評論的エッセイを軸に読み解き、彼の「思想」に迫る試論です。「再読」の対象としたのは『浮上せよと活字は言う』、『江戸にフランス革命を!』、『ぼくたちの近代史』、『宗教なんて怖くない!』、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』、『小林秀雄の恵み』など。
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【新刊】『定刻に歌うハミングバード(十七時退勤社の作文集①)』橋本亮二・笠井瑠美子・花本武・粕川ゆき いか文庫・どむか
¥1,100
B6判並製/84ページ 目次 はじめに 平安時代と私 粕川ゆき 髪は伸びるが床屋では名前がない 橋本亮二 どもない 花本武 石畳に紙粉舞い落ちるとき 笠井瑠美子 『「わざわざ系」の系譜|多様化する本屋と、そこに注がれる眼差し』の「ウラ話」或いは補足的「あとがき」 どむか 習い事と私 粕川ゆき 蛍リミックス 花本武 合点イン・ザ・パーク 橋本亮二 恋愛を考える私 粕川ゆき おわりに
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【新刊】『おてあげ 第3号』困ってる人文編集者の会
¥1,100
四六判並製/96ページ 特集:ばたばた 目次 ●ばたばた…麻田江里子 ●『おてあげ』について ●鼎談 2023年のベスト本と、ばたばたについて …困ってる人文編集者の会 ●エッセイ わたしのおてあげ 余裕を持ってばたばたしたい …古賀詩穂 書籍編集者の一年目…藤井翔太 絵本と大人のあいだで…サンローラン メディアプロモーションの困りごと…晴天耕作 全然いいけど、全然よくない。…わだめぐみ 嫉妬…國枝達也 ●連載 飯田、おまいだったのか。いつも本を仕入れていたのは。飯田はぐったりとめをつぶったまま、うなづきました。 第2話…飯田正人 ●こまへん日記 2024年3月30日〜4月3日…困ってる人文編集者の会 ●おてあげ通信 vol.2 ●プロフィール ●編集後記
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【新刊】『ベイブ論 あるいは「父」についての序論』柿内正午
¥1,200
新書判並製/ページ 誰もが「子供」の立場から立ち去りたがらず、ありもしない「親」をでっちあげては怒り、悲しみ、疲弊していく状況がある。自らの夾雑物やずるさや構造的優位や鈍感さを誤魔化さず、それでもなおよりマシな未来のために個人が「親」的な立場を引き受けるための準備運動。それが『『ベイブ論』です。(版元サイトより)
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【新刊】『カイヨワ幻想物語集 ポンス・ピラト ほか 』カイヨワ
¥1,320
新書変形/200ページ キリストを死刑に処したローマ帝国の官僚・ピラトの苦悩と決断を描く物語「ポンス・ピラト」。『遊びと人間』で知られるロジェ・カイヨワが著したフィクショナルな物語全4篇。 【収録作品】 ノア 怪しげな記憶 宿無しの話 ポンス・ピラト 訳者あとがき (付録)『ポンス・ピラト』追記
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【新刊】『未来を生きるスキル』鈴木謙介
¥924
新書/233ページ 雇用、教育、家族……変化が読めない未来を生き抜くために必要なスキルとは 「社会の変化は感じるが、じゃあどう対応したらいいのか?」どうしようもない不安や不遇感に苛まれている人たちへ。本書は今、伝える「希望論」であり、どのように未来に向かえばいいのかを示す1冊である。
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【新刊】『ひとり出版入門』宮後優子
¥2,420
四六判/ どうやって本をつくる? どうやって運営していく? ひとり出版ノウハウのすべて。 本の制作と販売、出版社登録、書誌情報登録、書店流通、在庫管理、翻訳出版、電子書籍、さまざまなひとり出版の運営についてまとめられています。 著者 宮後優子 装幀 守屋史世(ea) 編集 小林えみ、宮後優子 校正 牟田都子 印刷 藤原印刷 <目次> はじめに 1章 本のつくり方 本をつくるプロセス 1 企画を立てる 2 著者と打ち合わせする 3 企画書をつくる 4 原価計算をする 5 企画内容を確定する 6 台割とスケジュールをつくる 7 著者に原稿を依頼する 8 原稿整理をする 9 写真撮影や図版の手配をする 10 デザイナーに中ページのデザインを依頼する コラム:デザイナーの探し方 11 ISBNを割り振る 12 デザイナーに表紙のデザインを依頼する 13 束見本を発注する 14 用紙を確定して印刷代を計算する コラム:コストをおさえ美しい本をつくるコツ コラム:書店流通で避けたほうがいい造本 15 著者編集者が校正する 16 校正者が校正する コラム:校正者、翻訳者の探し方 17 文字や画像をDTP で修正する 18 定価を決めて注文書を作成する 19 受注して刷り部数を決める コラム:書店への訪問営業 20 書誌データを登録する 21 印刷所へ入稿する コラム:紙見本の入手方法 コラム:印刷所の選び方(おすすめ印刷所リスト) 22 色校をチェックする 23 色校を印刷所へ戻す(校了) 24 電子書籍を作成する(必要があれば) 25 刷り出しや見本をチェックする 26 制作関係者やプレスに見本を送付する 27 販促をする(イベント企画やプレスリリースの作成) 28 請求書をもらい支払い処理をする 29 書店で確認する 30 発売後の売れ行きを見ながら追加受注する コラム:売上の入金時期 コラム:直販サイトのつくり方 コラム:本の発送料をおさえるコツ コラム:倉庫のこと 番外編 翻訳出版 1 翻訳したい本の原書、PDFを入手する 2 原書出版社に版権の問い合わせをし、オファーする 3 版権取得可能なら、契約と支払いをする 4 翻訳書を制作し、原書出版社のチェックを受ける 5 翻訳書を出版する 2章 本の売り方 書店流通のために必要なこと 書店への配本の流れ 出版物の流通方法を決める 1 版元直販(直販サイト、イベントでの販売) 2 別の出版社のコードを借りる(コード貸し) 3 Amazonと直取引で売る(e 託) 4 書店と直取引で売る 5 トランスビューの取引代行で流通 6 中小取次経由で流通 7 大手取次経由で流通 電子書籍の流通 コラム:Book&Design の場合 コラム:図書館からの注文 3章 ひとり出版社の運営 ビーナイス 烏有書林 西日本出版社 よはく舎 ひだまり舎 コトニ社 みずき書林 Book&Design URLリスト、索引 参考文献 おわりに 宮後 優子 (ミヤゴ ユウコ) (著/文) 編集者。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業後、出版社勤務。1997年よりデザイン書の編集に従事。デザイン専門誌『デザインの現場』『Typography』の編集長を経て、2018年に個人出版社・ギャラリーBook&Design を設立。日本デザイン学会会員。共著『要点で学ぶ、ロゴの法則150』(BNN)。 https://book-design.jp/
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【新刊】『物語のカギ 「読む」が10倍楽しくなる38のヒント』渡辺祐真(スケザネ)
¥1,980
四六判/324ページ/サイン本 本の魅力をわかりやすく伝える書評動画で人気のYouTubeチャンネル「スケザネ図書館」。 その配信者である著者が、文学だけでなくマンガや映画まで幅広い「物語」へのあふれる愛を語りながら、より深く味わうための目のつけどころ=「カギ」をわかりやすく解説します。 小説・詩歌・マンガ・映画など幅広いジャンルを対象に、『走れメロス』、『アンナ・カレーニナ』といった名作文学から『呪術廻戦』(マンガ)、『ドライブ・マイ・カー』(映画)など近年の人気作まで、多種多様な作品をピックアップ。 それら具体例を紹介しながら紹介する「カギ」は、「語り手を信頼するな!(『日の名残り』)」、「比較・変遷をたどれ!(歌人・俵万智の作風の変化)」、「元ネタを探ろう(『ピーターパン』と『約束のネバーランド』)」など。 著者自身が物語の面白さに目覚めた経験談を交えながら、様々な角度から「物語」の楽しみ方を案内します。 ふだんあまり本を読まない人や、まだ読書に慣れていない中高生にこそ読んでもらいたい1冊です。 【目 次】 はじめに 序章 なんで物語を読むのか? 物語を味わうってどんなこと? 第一章 物語の基本的な仕組み 第二章 虫の視線で読んでみる 第三章 鳥の視点で読んでみる 第四章 理論を駆使してみる 第五章 能動的な読みの工夫 おわりに
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【新刊】『平成の文学とはなんだったのか』重里徹也・助川幸逸郎
¥1,760
A5ソフトカバー/224ページ 平成文学の三十年を一望し、縦横無尽に語り尽くす。 昭和から活躍していた作家たち、また、平成になって頭角を現した作家たちが底力を発揮したのがこの三十年であった。彼ら、彼女らの小説は時代を映し、問いを提起する。わたしたち読者はそれをどう受け取ろうか。 著者はふたりとも息の長い読書を続けて来た。本書はそのふたりが自由闊達に語り合い、論じる喜びにあふれている。したがって、蓄積の成果を「教科書」のように体系化・系統立ててまとめてはいない。今回、10のテーマを立てて多角的に対談をしている。また、平成を代表すると思われた作品「十選」やコラムも別立てにしてある。こうして、いろいろな方向から作品と時代にライトを当てている。ところどころユニークな逸脱もあり、なにげないひと言に時代の真実がこもることもある。 なによりも楽しみながら読み進められて、一冊でも「ああ、この本読みたいな」と思える本が見つかるような、そういった愉快な本作りを著者ふたりは志した。その点、平成文学のやわらかいガイドブックにもなっている。 <平成文学「十選」> 重里徹也選 『羽根と翼』黒井千次 『海辺のカフカ』村上春樹 『博士の愛した数式』小川洋子 『半島を出よ』村上龍 『弱い神』小川国夫 『路(ルウ)』吉田修一 『冬の旅』辻原登 『還れぬ家』佐伯一麦 『土の記』高村薫 『ある男』平野啓一郎 助川幸逸郎選 『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹 『聖耳』古井由吉 『博士の愛した数式』小川洋子 『蹴りたい背中』綿矢りさ 『ハーモニー』伊藤計劃 『ヘヴン』川上未映子 『マザーズ』金原ひとみ 『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』大江健三郎 『薄情』絲山秋子 『流転の海』宮本輝
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【新刊】『カタコトのうわごと』多和田葉子
¥1,980
四六判/234ページ 言葉は穴だらけだ。日本語でも他の言葉でも、外から眺めてみると欠けている単語がたくさんあって、どうしてこんな穴あきチーズを使ってものを書くことができるのだろうと不思議になる。越境者の言葉。
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【新刊】『山學ノオト』著:青木真兵、海青子
¥1,980
四六判変形/223ページ “自分としては、ただ生産性のない日々を生活しているだけなのです” 奈良県東吉野村。人口一七〇〇人の村の山あいの、道から離れその先の、川にかかる橋を渡った石碑の隣。ひっそりとたたずむ一軒家、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」。 自宅を開放して図書館を運営する夫婦がその生活を綴った一年間の日記に、書き下ろしエッセイと、山地での生活を考察した草稿「研究ノオト」を追加収録。
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【新刊】『質的社会調査の方法 他社の合理性の理解社会学』岸政彦、石岡丈昇、丸山里美(有斐閣)
¥2,090
A5判/263ページ 「他者を理解する」とは,どのようなことなのだろう。社会調査がますます重要視されるなか,第一線で活躍する研究者が手の内をすべて明かし,質的調査の醍醐味を伝える。初学者から一般読者まで,読みながら熱気とおもしろさを体感できる,新しい教科書。
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【新刊】『ずこうことばでこたえましょう』きだにやすのり
¥1,430
四六判変形/128頁 「えに したくなることって なんですか?」 「しっぱいを りよう できますか?」 「じぶんの えを どうかんじますか?」 「はんたいに すると なにが みえますか?」 「わくわく したのは なぜですか?」 ずこうをキーワードに、質問に答え、考えることで、自分の世界を広げる創作・発想のヒント集。 (きだにやすのり) 石川県出身。金沢美術工芸大学油絵科卒業。東京藝術大学大学院芸術学専攻修了。アートとコミュニケーションをテーマに、ユニークな美術教育を行っている。著書に『ずこうことばでかんがえる』(H.A.B)、『るいちゃんのけっこんしき:どもってもつたえたいこと』(学苑社)。共著の絵本に『いれてくやさーい』、『おしえてくやさーい』(ひかりのくに)、『どうろのおやくそくだもの』(あかね書房)などがある。
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【新刊】『ずこうことばでかんがえる』きだにやすのり
¥1,430
四六判変形/128頁 「いろいろな ことを いわれて あたまでは わかっているけど なにを していいか わからないよ と いうことが あるとします。 そんな ときは この ほんに かいてある ずこうことばで かんがえて みてください。」 ずこうをキーワードに、時に固くなってしまった頭を、簡単な言葉で解きほぐす創作・発想のヒント集。新装版。 (きだにやすのり) 石川県出身。金沢美術工芸大学油絵科卒業。東京藝術大学大学院芸術学専攻修了。アートとコミュニケーションをテーマに、ユニークな美術教育を行っている。著書に『ずこうことばでこたえましょう』(H.A.B)、『るいちゃんのけっこんしき:どもってもつたえたいこと』(学苑社)。共著の絵本に『いれてくやさーい』、『おしえてくやさーい』(ひかりのくに)、『どうろのおやくそくだもの』(あかね書房)などがある。
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【新刊】『ホット・ゾーン』リチャード・プレストン
¥1,166
文庫/491ページ 1989年、米国の首都ワシントン近郊にあるサルの検疫所をエボラ・ウイルスが襲った。致死率90%、人間の脳や内臓を溶かし「崩壊」にいたらしめるエボラ出血熱のパンデミックを阻止すべく、ユーサムリッド(米陸軍伝染病医学研究所)の科学者たちが立ち上がる。感染と隣り合わせの極限状況で、彼らは何を思い、どのように戦ったのか? 未曾有のウイルス禍と制圧作戦の全貌を描いた、世界的ベストセラー。
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【新刊】『日常的な延命 「死にたい」から考える』小川和
¥1,980
四六判/324 朝、ふと目が覚めて、少ししてから「死にたい」と思った。理由はわからない。わからないけれどなんだか「死にたい」と思う。そのことについて考えてみる (冒頭より) 本書は若手批評家の小川和による単著第1作である。 著者は「『死にたい』とはどのようなものなのか。無論、答えは人それぞれに異なっている。だからこれは、自分で自分の悩みに答えを出すために書いたものである」と語っているが、共感できないものだけでなく、どこか共感さえできてしまう範囲の「死にたい」にまで思考が巡らされていることが本著の特徴であろう。 エッセイでもなく、医学的な論文でもなく、それらの外部から批評が選ばれ、呼ばれている。誰かのエッセイに一時的に共感することはあってもまたすぐに辛くなってしまったり、既存のセーフティネットとの相性がしっくりこないと感じているとき、そんな自分を救うための言葉を、「死にたい」という感覚それ自体を、考察していく。 本文を語る際に導かれるその題材の多くは、現代人の身の回りの生活にも寄り添ったものである。制作や筋トレ、インディペンデント・アニメーション、ひきこもり移民、さらには呪術廻戦、ONE PIECEといったポップカルチャーの話題も差し込まれる。カフカやベケットといった文学的な想像力を活かすことも忘れない。これら全ては、承認欲求やアテンションエコノミーによって「死にたい」を抱えてしまった人たちの立場を土台に考えられている。また、座間9人殺害事件のような社会的事件にまで踏み込み、親密圏と「死にたい」の関係が考えられていることも本著の特徴といえよう。 著者の実存、人文知の蓄積と理論、社会への洞察。これら3つの大きな要素が掛け合わされる形で書かれたのが『日常的な延命』である。「死にたい」から逃れるためのガイドになるのか、読み物としての批評になるのか、本著とどう親しむかは読者の手に委ねられている。いずれにせよ、「読みやすさ」が意識された本文の文体は、多くの読者に向けて開かれたものである。 佐々木敦氏推薦 延命としての日常を、いかにして構築するか?「死にたい」を「生きてゆく」に変換するための回路を、小川は探求する。あくまでも論理的に、そして批評的に。まったく新しいタイプの「自己救済の書」の誕生だ。